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「いれる」のか「たてる」のか


広辞苑も進化していた

 コーヒーを、「いれる」のか「たてる」のか。いつも迷っていました。特に文章を書く時にです。店内の私達の話し言葉では、8対2くらいで「たてる」を多く使っているように思います。広辞苑によると「いれる」は「入れる・容れる」となります。「たてる」は「点てる」となります。

 どちらも煎茶や抹茶の作法から拝借した言葉ですので、コーヒーをドリップすることとは微妙に意味合いが異なります。それで、深く考えず混同したままで来たのですが、文章を書く場合は少し困ります。「コーヒーをれる」コーヒーをてる」。出来れば「い」や「た」の部分は漢字の方が視認性がよろしい。そこで近年は迷いながらも「コーヒーを淹れる」という表現を使い始めていました。

広辞苑第5版

 「淹れる」という表現に迷ったのは、三〇年ほど前に「いれる」を広辞苑第二版(1969年発行)で調べた時には「淹れる」は掲載されていなかったのです。ですから、当て字の、おかしな日本語なのかなと思っていました。パソコンのワープロでも「淹れる」はわざわざ辞書登録しないと出てきませんでした。

 今回この文章のために改めて広辞苑第五版(1998年)をひいてみると、なんと「入れる、容れる、淹れる」とありました。念のため昔の第二版(本箱の上にあります)をひいてみると、確かに「入れる、容れる」だけです。

 三〇年前の私の調べも間違ってはいなかったと思います(もう少し深く調べれば、「淹れる」がどこかで見つかったはずですが)。

 そんなわけで、書き言葉では「淹れる」を使っていこうと思います。

※「淹」の字は、広辞苑第五版では
en_ireru.jpg)  淹 〔音〕エン 〔訓〕いれる
  1.水にひたす。漬ける。茶をいれる。
  2.久しくとどまる。とどこおる。「淹滞・淹留」
  3.深い。広い。「淹識・淹博」
とあります。

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