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2019-10-26扁炉(ぴぇんろー) その2

「河童のスケッチブック」

扁炉鍋のレシピ

扁炉鍋は、舞台美術家・妹尾河童氏のエッセイ集「河童のスケッチブック」(1999年第1版)で初めて紹介され、「中国大陸に長く住んでいた人が、江西省の田舎料理だと言ってボクに教えてくれた」と言う話です。

作って食べた感じも確かに「中国料理」(のような感じ)ですが、実際には現在の中国でも知る人はなく、起源と言える料理も見あたらず(似たものはある)出所不明のようです。

レシピ

かうひい屋の家庭での夫婦二人分の分量でレシピをお伝えします。かっこ()内は、妹尾氏の5人分のレシピ。

用意するもの、材料が全て入る大鍋。

材料:2人分 (5人分)

干し 椎茸 20g (50g)
実際の調理時間は40分ほどだが、干し椎茸はもどしておく必要がある。
白菜 半分 (一玉)
5センチほどのざく切りにする。妹尾氏宅は5人で一玉だが、かうひい屋宅は2人で半分の勢い。
鶏のもも肉 100g  (500g)
食べやすい大きさに切る。妹尾氏宅は1人あたりの肉の量が、かうひい屋宅の2倍ある。部位の細かい指定はないが、ムネ肉はお勧めしないとある。
豚バラ肉 100g (500g)
食べやすい大きさに切る。
緑豆春雨 またはビーフン
出来上がり5分ほど前に入れる。
ゴマ油
太白油よりも、普通の、焙煎の香りがしっかりしたものがいい。少量だが、忘れないようにする。
塩 一味唐辛子
何でもいいが、天然塩があれば吉。一味唐辛子は好みで使う。

野菜は白菜だけ、妹尾氏は「間違ってもネギや人参、春菊などを加えないこと。これはみんな何度かの経験で失敗済み。」と警告しています。かうひい屋も失敗済み。大根や、豆腐も??だったと思います。

作り方

作り方は、大きな鍋に材料を入れて長く煮る、だけなので手間いらずと言えます。

  • 1.大きな鍋に、白菜、肉類、干し椎茸の出し汁を全て入れて、ゴマ油を少量、そして水をタップリ入れる。
  • 2.沸騰したら弱火にして、30分ほど煮る。好みにより、もっと長くてもよい。
  • 3.出来上がり5分ほど前に春雨を入れ、火を止める直前に胡麻油少々をたらす。

白菜はくたくたにまで煮ても、ベチャベチャにはならず、しっかり煮るのがお勧めです。

イメージは淡泊な白菜鍋ですが、実際は肉類もしっかり入り、その上にゴマ油と、油っこく仕上がることもあります。豚肉を湯通しして油を落とす、胡麻油を少なくする等考えられますが、コマ油をなくすのは、この料理の魅力を半減させてしまいます。

当家の作り方は、一応「河童のスケッチブック」のレシピ通りですが、油っ気を少なくする傾向にあります。

肉類からアクが少しでますが、当家では少しは取りますが、それ程気にしません。妹尾氏の本では言及はありませんでした。

食べ方(つけ汁)

食べ方が大事です。取り皿に煮汁を少量取り、塩をひとつまみ入れて、これを「つけ汁」にします。妹尾氏はここで「塩と一味胡椒を入れる」と書いていますが、当家の食卓では一味胡椒の用意はありますが、あまり使いません。

つけ汁をタップリつけるよりも、少量つけ、塩味のあるところと、ないところが舌の上で変化するのが、この鍋の面白いところです。

妹尾氏は「この鍋に限っては、少し塩加減が濃い方がおいしい」と書いています。かうひい屋は「そうかな?」と思っています(笑。このあたりはお好きなところを探して下さい。

最初は「扁炉鍋 原理主義」

10年ほど前に扁炉鍋をネットで検索した時は、妹尾氏のレシピを忠実に紹介したページも多く、ネット掲載のレシピそのままで大成功だったのですが、最近は自己流のレシピを披露したページも多くなっています。

最初はぜひ、初期のレシピに忠実な、足し算も引き算もない、シンプルな扁炉鍋を作ってみて下さい。

ネットでは、このような態度は「扁炉鍋 原理主義」と呼ばれて揶揄されています。

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