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2022-07-10 レシピ「オ・レ・グラッセ」

夏のメニュー

かうひい屋のメニューには、冷たいコーヒーとして「オ・レ・グラッセ」というのがありました。下はシロップが入った甘いミルク、上はブラックのままの冷たいコーヒーです。トップにクリームを流して仕上げます。

このメニューの作り方は、何度も話したことがありましたので、紹介済みのつもりでしたが、文字で紹介した形跡が見つかりませんので、書いてみます。

難しくはありませんが、いくつかのコツはあります。

材料


(全て、冷蔵庫から出したばかりのしっかり冷えたもの。クリームは省略)

ミルク 90cc
シロップ 20cc
ブラックコーヒー 90cc
氷4個

上記の量は変えてもOKですが、シロップの量が少なすぎると、分離しにくい可能性があります。シロップを入れて、比重を高めます(液体を重くする)。

コーヒーは濃厚に出来た方が、ミルクとの対比を楽しめます。

シロップは砂糖と水、重量で等量を沸騰させて、煮溶かします。

道具


-
透明なグラス(出来れば背丈がある)
攪拌のためのバースプーン
ストロー(意外に必須)

作り方

グラスに氷4個を入れ、ミルクを半分ほど注ぎ、バースプーンも入れておいて
シロップを入れて、すぐにかき混ぜる。
コーヒーを氷の上にそっと注ぐ。

飲み方


混ぜずに、ストローを使って、甘いミルクの部分と苦いコーヒーの部分を、別々に味わってみてください。苦みで舌が虐(いじ)められた分、単純に甘いミルクがとてもおいしく感じられます。

これは温かいコーヒーでもよくお勧めしている「ブラックのコーヒーと甘いミルクを別々のカップで」と同様の発想です。

作り方・要領

氷を使いますが、お客様に出すまでは、水っぽくしたくないので、手際の良さが大事です。材料は目の前に揃えておきます。

作り方2. のシロップを入れるところは、シロップが沈まないうちに素早くかき混ぜて、氷の冷たさをミルクにしっかり伝えます。でも漫然と混ぜないように手早に。シロップで比重を高くし、よく冷えることで、上下に分離しやすくなります。

作り方3. のコーヒーを落とすときは、落ちる勢いを出来るだけ削ぐように、一番下の氷をめがけて、そっと落とします。最初は気を遣いながら、ある程度コーヒーが入ると、少し急いでも大丈夫です。うまく行くと、冒頭のイラストにもあるように、分かれ目が「線に」なります。

もう一つの方法

ご家庭にある一般的なグラスでは、氷1個を使う方法もあります。

ミルクとシロップを入れ、氷1個を浮かべてよく攪拌
その氷の上にコーヒーをそっと落としていく。
残りの氷は取り出す。

この方法は、ミルクに浮いた氷がクッションになり、コーヒーを落とすのが楽です。
が、飲んでいる途中で、混ざりやすいかも知れません。
が、ご家庭ではちょっとした演出が出来ると思います。

時代の変遷

かうひい屋が開店した1991年は「バブル崩壊」と言われていた頃で、景気の後退が言われていましたが、バブル景気の雰囲気はしっかりと残っていました。

流行っている漫画も「おいしんぼ」などがありました。

当時の若者は、オ・レ・グラッセをお出しすると「どうやって飲んだらおいしいか」と話題にし、「上と下を別々に」と説明すると、試してみて「おお、なるほど(嬉」と、食の質について関心が高い印象があります。

その後景気がさらに後退すると、ファストフードがより盛んになりました。若者もコスパ重視で、「どうやって飲んだらおいしいか」と工夫する感じではなく、メニューを出した途端にぐるぐるとかき混ぜて、あれよと言う間に「冷たいカフェ・オ・レ」になってしまう、そんなことも多くなりました。

「上下を別々に飲んでみる」と言うことを説明する機会があっても、若者からの反応は、以前より薄くなっているように思いました。

オ・レ・グラッセの飲み方への反応は、時代を映す鏡のようでもありました。